き …過去の意味をもち、特殊型の活用で、活用語の連用形に接続する。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
き (せ) ○ き し しか ○ 特殊型
(1)過去…[~だ]
き その人の後といはれぬ身なりせばこよひの歌をまづぞよままし(枕草子・九九段)
(自分が清原元輔の子と言われなければ、今夜の歌会で初に詠んでいるのでしょうが。)
[未然]
今は昔、藤原為時といふ人ありき。(今昔物語集・巻二四-三〇)
(今は昔の話だが、藤原為時という人がいました。)
[終止]
罪に落ちて都を去りし人を、三年をだに過ぐさず許されむことは…(源氏物語・明石)
(罪に犯して都を去った人を三年も過ごさずに許してしまっては…)
[連体]
何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと…(徒然草・五二段)
(何かあったのだろう、ぜひ見たかったのだが、神へ参拝することが目的だったので…)